去る7月18日、19日の2日間、安田において恒例の大願寺信徒の自然体験学習がおこなわれました。大人15名、子ども8人、合計23名が参加しました。今年はあいにくの天候不順で、空模様もよくなく、風もあって無人島の安田ヶ島へカヤックで渡ることはできませんでした。楽しみにしていたシュノーケリングで海中散歩をすることは残念ながら今年はできませんでした。
かわりに伊部岳を中心とする東洋のガラパゴスと言われる、山原の自然を少し勉強するため、バスに載って登山道の入り口まで行き、ガイドの中根さんから伊部岳闘争の平和学習や、植物、小動物の説明、自然を守る大切さを学びました。
伊部岳実弾射撃演習阻止闘争は、コザ騒動の年、米軍は年末も押し迫った12月末に、突然、伊部岳に向かって砲弾を打ち込む訓練をすると村役場に電話で通知してきました。それを聞いた安田区の人々は、一大事とばかりに、自然豊かな先祖伝来の山を米軍に壊されてはならないと、老若男女を問わず総出で、米軍のバリケードを破って山上目指して駆け登ったのです。隣の安波区の住民も参加しました。まさに体をはっての阻止行動であったのです。山のあちこちに座りこんだ人々は、のろしをあげ、ここにいるぞ、砲弾を打ち込むなら打ち込めと言わんばかりに、命がけの阻止行動をとったのです。山のあちこちであがる白煙ののろしを見た米軍は演習をあきらめて撤退いたしました。安田区民の命がけの闘争のお陰で、山原の自然は守られました。このお陰で、ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ヤンバルハコガメ、ヤンバルハリネズミ、ヤンバルミミズなど貴重な品種の小動物や植物の生体が守られたのです。今は、広大な面積が環境省によって鳥獣保護区に指定されて生体の保護が維持されています。
今回は、ほとんどの人が知らない、自然を守る為の壮絶な行動が繰り広げられた歴史を学べてよかったと思います。
その後、カヤックで川を散策しました。雨の中でしたが、大人と子もがペアを組み、呼吸をあわせて、パドルをこぎ楽しみました。
新しい信徒の中には、レクレーション気分の人もいましたが、決してそうではありません。勉強の場として、取り組んでいます。自然環境の中で、人と人のふれあいを通じて、
絆を結び、協調性を養い、思いやりや礼儀を学び、生きる力を身につけ、自然の中から多くのものを学んでほしいと願っています。
お寺を離れて、自然のありさまから仏さまのはたらきを身に感じる感性を磨いてほしいと願っています。感性豊かな人になってお寺の伝統を相承できる人材になってほしいと願っています。