私のふるさとは国頭村の安田です。自分の育った故郷を忘れることはありません。
私が幼かった当時の交通手段と言えば、舟だけでした。安田から隣の村落に行くには、海岸を伝って行ったり、細い山道を歩くしかありませんでした。
小さな村落ですが、思い出がいっぱいです。貧しかったが、みんな助け合って生活していました。道が開通してみんな都会へ出て行ってしまって村の人口は激変してしまいましたが、都心へ出た人たちは、郷友会を結成して、ここでも助け合って生きてきました。
小さな村では、なんらかの形でみんな血が繋がっています。ですから他人ではないのです。不幸があれば嘆き。良い事があれば、みんなで祝い、道をはずせば嗜め、心がふさがれば励まし、人手が必要なら手を貸し、災害にも総力で立ち向かいました。郷里の者は村を離れても助け合って生きています。郷里の人は家族、兄弟と同じなのです。ですからお互い思いやりがあり、心のつながりがあります。郷里はすばらしい社会の一単位です。もっと厳密に言えば、家庭が最小の社会の一単位です。夫婦の仲が良くないと家庭を幸せにすることはできません。家庭は郷里の者が仲良く生きていく原動力でもあります。
「和睦郷里」とは、生まれ育った故郷の自然の恵みに感謝し、人と人のつながりを大切にし、自分のわがままを抑え、相手の身になって考えてあげる寛容さを身につけ、お互いにいたわり合い、助け合い、協力しあって楽しく生活することが大切ですよ、ということだと思います。
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