矛盾の中に生きる

この世は無常であるとは、三法印の一つです。
無常なるうえに人生は皆苦と言えます。
苦には、専門語では、苦苦、壊苦、行苦の種類があります。
苦苦とは熱い、寒い、痛い、苦しい等人間の感覚で感じる苦しみです。
壊苦とは、突然のできごとににより、受ける苦しみです。
災害や火災、事故で人命を失う、家屋を失う、財産を失う等突発的なできごとによるダメージです。
行苦とは、生きて行く上でつきまとう苦しみです。明日の生活の心配や、人間関係、思うようにいかない苦しみなどです。

仏教は苦しみの世界から解脱して、自由になることを教えますが、生きている限り、苦しみはつきまといます。
いっそ、死んでから苦しみのない世界に生まれ変わろうと考えることもできます。
しかし、そんな世界は本当にあるのでしょうか。
ノーです。あーでもない。こーでもない。こーしなければだめだ。あーしなければだめだ。これも許せない。あれも許せない。いろいろなこだわりをもっていると苦しみがついて回ります。
かと言ってこだわりを持たないと、向上心、生きる力が衰えます。

理想世界を論じてみても、現実の世界はどろどろした世界でいきています。
生きている世界はどろどろしていますが、そこから逃げることはできないのです。この世界で生きていかなければなりません。
しかし理想世界がないと、どろどろした世界に溺れて腐って朽ち果てるだけです。
体は現実のどろどろした中にあって、多くの気づきを得て、それが生きる力となり、心は理想の世界を考え、追い求める姿勢で生きることが必要です。
矛盾と相対する世界で生きなければならないのです。いやなことばかりにとらわれると何もかもいやになりますが、理想世界を考える、生きる望み、生きる勇気も沸いてきます。
この世において心を自由にすることができれば、この世のすべてが、ありがたく思えるようになります。心は穢れることなく、きれいな花を咲かせることができます。

逃げずに生きよう。矛盾を受け入れよう。理想に向かおう。心の持ち方ですべてが変ってきます。