「心暗きときは 即ち遇う処悉く禍なり 眼あきらかなるときは途に触れて皆宝なり」
弘法大師空海
私たち人間は、心の中に何か一つのこだわりを持つと、そのこだわりから次々と妄想を生み出し、自分自身を暗い世界に閉じ込めます。自分の良いところ、悪いところを執らわれない心でみつめ真実を知ることが大切です。そうしないと四苦八苦しながら生きなければならなくなります。
彼岸会は、亡きひとが、煩悩の此岸から煩悩を乗り越えた彼岸へ渡ることを願って法要します。亡きひとだけでなく生きている私たちも彼岸へ渡ることを願って六波羅密の諸行をこの世で行うことを仏さまに誓います。仏さまの教えに帰依して、生活を正すことを誓います。仏さまを敬い、先祖を敬い、自分も敬い、他人も敬います。全ての命が連鎖して生きていることに気がつかなくてはなりません。そのことに気がつけば、全ての命に、全てのできごとに「ありがとう」と合掌したくなります。
「眼あきらかなるときは途に触れて皆宝なり」とはまさしく合掌できるこころを得たあなた自身の心境に他なりません。しかし、その心境を得ることは、むつかしいかも知れません。いや、やさしいかもしれません。全ての答えがあなたの心のなかに潜んでいます。
一に精進 ニに精進、遠からず、近からず。(宥海)