友情に包まれて黄泉の旅へ

 台風が去った2日に糸満市で葬儀をおこないました。最初、ご遺族は密葬を希望していましたが、家族親族で相談して、家で葬儀をすることになりました。狭い家なので、屋外にテントをはり、祭壇を設けました。

沖縄では、新聞に訃報を掲載しますので、葬儀告別式がどこで何時から行われるかがわかります。人のつながりを重んじる沖縄では、新聞を読む場合、ほとんどの人が、まずはじめに死亡欄を確認いたします。

今回逝去した故人は30歳の若さでした。新聞に載せず、辻辻の案内版も出さず、ひっそりと葬儀を行いたい様子からしていろいろ事情があったのだろうと推察されます。

 

そんな訳で葬儀に参加する人数は少ないものと予想され、焼香炉も一つしか用意されていませんでした。ところが、葬儀が始まると、焼香に訪れた弔問客は大勢でした。故人の友人もたくさんみえていました。急遽焼香炉を増やして対応しなければなりませんでした。

 

棺は友達の手で担がれました。多くの友人たちは火葬場まで立ち会って最後の別れをいたしました。こんなに多くの友人に見送られて故人も嬉しかったでしょう。いつまでも友情を忘れないお友達の純粋な心にも感動しました。

 

みんな悲しみに打ち拉がれていましたが、残された妻子の泣き崩れる姿がいっそう哀れでした。

いつの世も無常にも別れが必ずやって来ます。

故人も残された家族も仏さまにお救いしていただくよう、心を込めてお祈りさせていただきました。

                                   合掌